2015年9月22日火曜日

霊泉寺温泉松屋旅館・共同浴場

刈り入れが始まった水田の谷地をほぼ行き止まりまで入ったところに、霊泉寺温泉の旅館はこじんまりと並んでいる。


床屋のようなドアを持ったごっつい共同浴場、


その先を右に曲がれば松屋旅館。


浴室は男女1セットの内風呂のみだが、増築した鉄筋棟の3階にあり明るく眺めもいい。


Ca硫酸塩泉40度、無臭。古い資料ではアルカリ性単純泉となっており、分析のたびに閾値の1000mg/kg前後を行ったり来たりしているのだろう。何の変哲もない石膏泉で、鹿教湯や沓掛に似た上田周辺の標準的な性質。一見投湯量は多いが、半分以上は加温のため循環させたもの。塩素臭はない。


それなりに新陳代謝している別所や鹿教湯とは対照的に、今の経営者世代と一緒に終わってしまう温泉地なのだろう。廃業した旅館や診療所が廃墟化し、昭和50年あたりで時間が止まったかのようだ。それでも、初秋の晴天に恵まれたおかげか印象は悪くない。立派な宿、手の込んだ料理、素晴らしい泉質、風格のある湯小屋、なんてものはない。淡々と、ただの温泉。人生最後の旅行はこんなところにしたい。