2015年6月12日金曜日

奥蓼科温泉渋御殿湯

北八ヶ岳登山の前泊。せっかくの単独行なので、子連れではちょっと躊躇する上級者向け温泉(※当社比)、渋御殿湯を選択した。分類上は民営国民宿舎。そんな制度が未だに生きているとは思わなかったが、音楽業界で言うところのセルフタイトル、源泉名同名の宿というのはいやが上にも期待が高まる。


神々しい檜造りの湯殿。右奥が渋御殿湯、26度。左手前が渋長寿湯、31度。別源泉ながらいずれも酸性単純硫黄泉(硫化水素型)、もちろん酸っぱく金属味も強い。多量の遊離二酸化炭素を含んでいるのも特徴の一つ。


26度ということは温泉法の定義ぎりぎりの低温泉である意味貴重だが、直接入浴は気合で数十秒が限度、もっぱら渋長寿湯に浸かることになる。31度でも意外とじっくり入れる。浴槽下から直に源泉が湧き出していて、どういう理屈か大きな泡もボコボコと。天然のバブルバス、極楽。


これら生の低温浴槽だけではさすがに厳しく、加熱した第三の浴槽もある。実際一番長く入る(らざるを得ない)のは渋御殿湯源泉を42度にしたこれ。循環だが加温のみで殺菌剤の投入なし。源泉も常時豊富に投入しており、これだけでも十分満足できるクオリティだ。


以上は古い東館の浴室の話。新しい西館の浴室は特に語るべきこともなく単に体を洗う場所でしかない。それにしても、硫黄臭が染み付いて独特の匂いを醸し出しているこの宿、冷たい温泉よりむしろこの匂いが上級者向けの所以かもしれない。