正月旅行の目的地は山形の鶴岡だが、子連れで1日で行くのはさすがにつらいので、中間の新潟県内でビバークすることにした。宿の選択条件は源泉かけ流しのみ、贅沢は言わない。となると結果は自明、減価償却しまくった温泉街のそれなりの宿と相成る。お世辞にもきれいな宿とは言えないが、ロビーをはじめ中はそこそこ手入れが行き届いていて居心地は悪くない。このくたびれっぷり、実は案外好きだったりする(家族はいい迷惑、か)。
風呂は古びたタイル張りの大浴場のみで露天も貸し切りもない。だが泉源至近のおかげでお湯はやたらにいい。50度近いお湯を適度な広さの浴槽にどぼどぼ注ぎ、全体がむらなく適温で気持ちがいい。単純泉42度。浴室に充満した湯気のかぐわしさ、冬は内風呂に限る。
この温泉街はどの宿も同じくらい古びているが、和泉屋隣りの共同浴場「雪華の湯」だけは場違いに立派で新しい。浴室は定員5~6人程度の標準的な共同浴場サイズで、4対6に分割された浴槽は、狭い方が45度超の高温浴槽、広い方が42度弱の低温浴槽となっている。高温浴槽はかけ流し、低温側も循環装置はあるものの止まっているようだった。正月早々村の人で混み合っていたこともあり、ピリッとした熱いお湯に5分だけ入って上がった。
ここは基本的に地元専用で日帰り客お断りだが、宿泊客は宿でチケットを買って入浴することができる。だが見たところ他の客は地元の人ばかりで(お風呂セット持参でそれと分かる)、しかも爺様方より3~40代の若い衆が多いのは意外だった。