2016年1月10日日曜日

小野川温泉尼湯

南会津からスキー場のような峠道を越え会津盆地へ。



喜多方でモーニングラーメンすませ、さらに峠を越え米沢の小野川温泉、共同浴場尼湯へ。



昼間から爺様方でにぎわっている。しょっぱい硫黄泉、含硫黄NaCa塩化物泉43度。



入口の表示に加水ありと表示されているとおり、投湯口が二重になっている。奥が熱い源泉、手前が井戸水。比率は7:3くらいのように見える。溶存物質が1kgあたり6g近くあるので、この程度薄めてもしっかり味は残る。硫化水素臭はもともと控え目。



小野川を目指した本当の目的はもう一つの共同浴場滝の湯だったのだが、鄙びていい味を出していた古い浴場は取り壊され小奇麗な施設に移転してしまっていた。跡地にはラジウム玉子コーナーがぽつんと残されている。



軽い喪失感と人の出入りの多さで、新しい滝の湯には入る気にならなかった。以下、旧滝の湯の様子を残しておこう(2011年1月8日、Nokia N73)。





木賊温泉岩風呂

雪道運転訓練を兼ね久しぶりに真夜中の木賊温泉岩風呂へ。しかし雪の少ない今シーズン、この時期には珍しくほぼ乾燥路のみで到着。



足元湧出で鮮度極上の単純硫黄泉は、どこかの湖のように青く透明で毎度惚れ惚れする。もちろんほんのり硫化水素臭あり。以前に比べ少し温くなったか、上流の浴槽でも42度くらいでバリっとした熱さはない。下流は40度を切るくらいで冬場にはちょっと厳しい。



4年前、湯小屋の中にあった岩はなくなっていた。やはり川の力で移動しているようだ(下の写真、中央左にあるふたつの岩がたぶんそれ)。増水後の復旧作業の様子が脱衣所に掲示してあったが、ここを維持する苦労は間違いなく大変なものだ。お金の問題だけではないが、せめて無銭入浴だけはやめよう。



2015年9月22日火曜日

霊泉寺温泉松屋旅館・共同浴場

刈り入れが始まった水田の谷地をほぼ行き止まりまで入ったところに、霊泉寺温泉の旅館はこじんまりと並んでいる。


床屋のようなドアを持ったごっつい共同浴場、


その先を右に曲がれば松屋旅館。


浴室は男女1セットの内風呂のみだが、増築した鉄筋棟の3階にあり明るく眺めもいい。


Ca硫酸塩泉40度、無臭。古い資料ではアルカリ性単純泉となっており、分析のたびに閾値の1000mg/kg前後を行ったり来たりしているのだろう。何の変哲もない石膏泉で、鹿教湯や沓掛に似た上田周辺の標準的な性質。一見投湯量は多いが、半分以上は加温のため循環させたもの。塩素臭はない。


それなりに新陳代謝している別所や鹿教湯とは対照的に、今の経営者世代と一緒に終わってしまう温泉地なのだろう。廃業した旅館や診療所が廃墟化し、昭和50年あたりで時間が止まったかのようだ。それでも、初秋の晴天に恵まれたおかげか印象は悪くない。立派な宿、手の込んだ料理、素晴らしい泉質、風格のある湯小屋、なんてものはない。淡々と、ただの温泉。人生最後の旅行はこんなところにしたい。

2015年7月20日月曜日

芦之湯温泉松坂屋本店

真夏の温泉、近場でできるだけ涼しい所はどこかと思案中、目に入ったのは大涌谷のニュース。ということでめったに近寄らない箱根、神山の反対側で噴火とは無関係な芦之湯温泉をチョイス。標高850mでも太平洋側だからと半信半疑だったが、さすがは伝統の避暑地。梅雨明けした都心が35度近くでも、こちらはせいぜい27~8度。雲(というより霧)が出て陰ってしまえば肌寒いくらいで、真夏の不思議な温泉日和となった。


大浴場の二つの浴槽は微妙に温度が違い、奥は所により42~43度、手前は比較的低温で40~41度。含硫黄CaNaMg硫酸塩炭酸水素塩泉(硫化水素型)、この組み合わせでなぜか弱アルカリ性。温泉マニア向けのクイズになりそうなくらい珍しい、繊細かつ極上の泉質。成分はさほど濃くなく、溶存物質計1056mg/kg。あと6%薄ければ単純硫黄泉となるはずで、長野の五色温泉なんかとよく似ている。硫化水素イオンが(もちろん匂いも)濃いのを除けば薄味でさっぱり、しかも関東では貴重な準炭酸水素塩泉。


この宿ではなんと言っても源泉を引いた部屋風呂が魅力。到着時に早くも掛け流しにされており、白と黒の湯の花がたっぷり沈殿していた(ひと晩放置? ならグッドジョブ)。このお湯は張り方というか冷まし方で発色が変わるようで、少しずつゆっくり冷ましながら溜めると硫酸塩泉的な透明な緑に、


勢いよく溜めた高温の湯を激しくかき混ぜて冷ますと炭酸水素塩泉的な乳白色になる、ようだ(素人考えの素人実験)。


料理が良すぎたりして分不相応な気がしないでもないが、交通費ほどほどで片道1時間半で行ける天国となれば、冬のシーズン本番にまた行くことになるだろう。

2015年6月12日金曜日

奥蓼科温泉渋御殿湯

北八ヶ岳登山の前泊。せっかくの単独行なので、子連れではちょっと躊躇する上級者向け温泉(※当社比)、渋御殿湯を選択した。分類上は民営国民宿舎。そんな制度が未だに生きているとは思わなかったが、音楽業界で言うところのセルフタイトル、源泉名同名の宿というのはいやが上にも期待が高まる。


神々しい檜造りの湯殿。右奥が渋御殿湯、26度。左手前が渋長寿湯、31度。別源泉ながらいずれも酸性単純硫黄泉(硫化水素型)、もちろん酸っぱく金属味も強い。多量の遊離二酸化炭素を含んでいるのも特徴の一つ。


26度ということは温泉法の定義ぎりぎりの低温泉である意味貴重だが、直接入浴は気合で数十秒が限度、もっぱら渋長寿湯に浸かることになる。31度でも意外とじっくり入れる。浴槽下から直に源泉が湧き出していて、どういう理屈か大きな泡もボコボコと。天然のバブルバス、極楽。


これら生の低温浴槽だけではさすがに厳しく、加熱した第三の浴槽もある。実際一番長く入る(らざるを得ない)のは渋御殿湯源泉を42度にしたこれ。循環だが加温のみで殺菌剤の投入なし。源泉も常時豊富に投入しており、これだけでも十分満足できるクオリティだ。


以上は古い東館の浴室の話。新しい西館の浴室は特に語るべきこともなく単に体を洗う場所でしかない。それにしても、硫黄臭が染み付いて独特の匂いを醸し出しているこの宿、冷たい温泉よりむしろこの匂いが上級者向けの所以かもしれない。

2015年5月23日土曜日

白馬八方温泉おびなたの湯

週末、信州の山から下りて何も考えずまっすぐ帰ると、まず間違いなく渋滞作りに参加することになる。となるとファーストチョイスは立ち寄り湯だが、白馬の中心部はスーパー銭湯じみた施設ばかり、泉質に魅力があるわけでもないのでなおさらつまらない。そこでおびなたの湯、以前通りがかって気になっていた露天風呂に向かった。


風呂はシンプルに露天がひとつ、どかんと。コンクリを流しこんだだけのタタキなど、造りはワイルドのひと言。岩に沿って源泉を冷ましながら投入している。アルカリ性単純泉42~43度、かすかに硫化水素臭。開けているのは一方だけだが、森の空気を吸いながらの入浴は気分がいい。


立地はこの通り沢筋の一軒家。写らなかったが写真奥にはまだ雪渓の目立つ白馬連峰が望める。ただし、隣りにポンプでもあるのか耳障りな機械音が常時聞こえ、残念ながら、見た目ほど落ち着いた環境ではない。


2015年5月7日木曜日

薬研温泉古畑旅館

下北半島温泉巡りの最後はこれまた一点豪華主義、総ヒバ造りの内風呂がうれしい薬研温泉古畑旅館。下風呂の大湯も恐山の湯小屋もヒバ造りだったが、ここの浴室はピカピカに磨き上げられ非常に美しい。そこにこんこんと透明なアルカリ性単純泉が注がれ、もう、うっとりせずにはいられない。42度。


外観はこの通りどこにでもありそうな古びた旅館だが、簡素ながら手入れが行き届いていて居心地はいい。


客室から眺める渓谷沿いの緑も美しく、できることならここでもう一泊のんびりしたい、と後ろ髪を引かれつつ下北半島をあとにした。


・・・その後、大湊線とはやぶさを乗り継ぎ19時過ぎに東京駅到着。ところがその先の電車が事故で止まっており、結局都心のホテルに泊まるはめになった。ああ、もう一泊すればよかった。